6月の生け花・エッセイ

【花器】 陶器すり鉢型コンポート
【花材】 縞がま・笹ゆり・デルフィニューム(パールブルー)・アンスリューム・ぎぼうしの葉
※二作目には足元にみずきの枝を使っています。
【大広間やホールの生け花(夏のおもむきで)】

ホールのような広い場所にはよく観葉植物などの鉢を配置しますが、
やはり一箇所ぐらいはお花を生けておきたいものです。

今回はこれからの季節に向け、涼しげな風を感じるような生け花にしました。

夏場のお花は色とりどりにすると暑苦しく見えるので、
外の景色に合わせ、かつ清涼感のある感じに仕上げるといいですね。

花数の多いものとシンプルなもの、2作生けてみました。

どちらも大切なのは「伸び行く姿」と「軽やかさ」。あえて大きな花を使わず、
質感として花の生き生きとした姿を表現しています。


まず縞がまを水の中から立ち上るように、
そして上の葉の間を風が通り抜けるような気持ちで少し広げて生けます。

次に笹ゆりをポイントとして印象的に見える場所に挿します。

上が重く見えないように足元をぎぼうしの葉でボリュームを出し、
最後にデルフィニュームの水色を飛ばし形を整えます。

涼感を持たせるためになるべく器と水を見せるようにすると美しいです。

花が器にもたれかかることの無いように、花と花が自立するように。

葉どうしが重なりあったりすると少し暑苦しく感じます。


繊細なようですが、ちょっとしたことで出来上がったものは
気持ちの良い作品に仕上がります。
【第二十四話】

地球環境の変化からでしょうか。

本格的に夏が来たかのような陽差しのまぶしい日が続いたかと思えば、また爽やかな初夏の陽気に戻ったりと、年々季節の変わり目が分かりづらくなっているような気がします。

今月の生け花は、夏の趣を二作生けてみました。

いつも私は、まず、多くの要素を取り入れ少し賑やかなぐらいに生けあげます。

花材を多くすると豪華で華やかになり美しいのですが、その作品から「ここぞ!」と思う部分を取り出してシンプルに生け換えたのが二作目です。

最近思うのですが、いろいろなシーンで「ライフスタイルや物の考え方などをシンプルに!」などとよく巷では言われています。

私がお花を生けるときは、まず一度はたくさんの考え・アイデアを練り上げていきます。そこから自分が思う本当に必要な要素を取り出し生けたものは、結果的にはシンプルな作品に仕上がります。でも、1+1=2の答えと100-98=2は、同じ答えのようで違うのではないかなと・・・生け花にあてはめると後者の方が同じ2の答えでも奥深いと思えるから不思議です。考え過ぎかもしれませんが、巷で言うシンプルという言葉も実は奥深いのではないかと思ったりします。


何だか悟ったような気分の私ですが、100-98=5なんていう計算間違いは多々あるのが本当なのですけどね。


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