9月の生け花・エッセイ

【花器】 焼き物つぼ
【花材】 とうごま・ほととぎす・糸菊・ネリネ・穂先しもつけ・くじゃく草・りんどう
【秋の投げ入れ花】

趣のある焼き物の壷を、先日行われた京都・五条坂の陶器市で買いました。

自然の焼きはだが美しい器でしたので、今回はあまり技巧的な生け花にならないように生けてみました。花の取り合わせは秋の草花を多種、豊穣の秋という感じです。

秋草の取り合わせは日本の原風景を思わすような、草花の自然な姿を表現できればいいですね。どれが主役と言うことなく、まずは大きな花から一種類ずつ、丁寧に「花の顔」を見ながら器に入れていきます。

花の向きなど決して無理はせず、器のふちにもたれさすように止めていきます。力を抜いて生けていくほうが秋らしく、そのほうが自然な柔らかい雰囲気の、少し力の抜けた花になり面白いです。

出来上がりの姿を自分で決めるより、花が器に入っていきやすい場所に生けることを心がけると、趣のある面白い作品になります。

どの花も葉が多いので、ほんの少しだけ間引いてあげると、花どうしがありありと見えてきます。
【エッセイ 第二十七話】

お隣の庭に大きな柿の木があります。毎日その木を見ながら仕事へと出かけるのですが、日々季節の移り変わりを見て感じ取れます。

夏場にはおい茂った緑の葉と、その中に小さな実をひっそりと付けています。秋が深まるにつれその実は少しずつ大きくなり、葉も紅葉が始まります。葉が落ちると荒々しい力強い枝ぶりをむき出し、色付いた柿の実がたわわに実っているわけです。

私も日常をくり返す中で、一日一日の成長があるようにと自分に置きかえて考えてみます。昨日よりは今日はまた一歩と・・・そう思いながら努力していくことにより実を結ぶことの大切さを学びます。

また一方では、その年によって実の付き方が良かったり悪かったり。もちろんそんな時も風雨に立ち向かう努力は必要なのですが、時節の状況により実の成り方の違いも認めていかなくてはならないのでしょう。

時代の変化にも対応すること、柔軟な考え方を持つと言うこと・・・柿の実の成り方から学ぶのは、やはり花好きな私だからでしょうか。


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