2月の生け花・エッセイ

【花器】 白い角皿
【花材】 ラッパ水仙・スイトピー
【違った見方の3つのデザイン】

今回は同じ花材を、違った見方をしながら3つデザインしてみました。

まずは最初の作品。
これは水仙の茎の伸びゆくフォルムにスポットをあて、自然の姿から少し手を加え、葉も小さくデザインしました。

2番目の作品。
実はこれが一番最初に花の自然な姿をいかして生けてみたものです。水仙の葉を出生そのままにしてあります。

最後のシンプルな作品は、生けてある花とまわりの空間の演出も含め作品にしてみました。一番インテリア的な生け花だと思います。
【エッセイ 第三十二話】

立春も過ぎましたが、今年の京都は寒い日が続いております。

そんなわけで私、休日は外出せず読書などをして過ごしております。ある日以前から持っておりましたAERA(アエラ)の「日本のデザイナー」という本をパラパラと読みかえしておりました。建築・プロダクト・グラフィックスからインテリア・プロデュースまで【デザイン】について書かれている本です。私の花を生ける仕事においてもデザインするという作業にあい通ずる部分もあり、他ジャンルの仕事ですがとても勉強になります。

さてそこで、今一度「花をデザインする」ということはどういうことなのかと考えました。

花や木は自然が育て、その姿なりにすでに個性あるデザインがされて生まれてきています。私もそれに重きをおき、自然の美しさを尊重して花を生けていきます。

そうして生けあがった作品は季節や自然の姿をデザインしたということだと思います。また、それとは違う方向から花を見てみます。色でありフォルムに重点を置き、その花が自然の中で咲く姿は2番目において考えます。

例えば花びらの静かな色に注目したり、茎の伸び行くフォルムに着目します。それから生ける場所(空間)との調和を考え、まさしくデザインする作業を始めるわけです。自然の姿を主とした場合、色・形を主とした場合、両方とも生け花であることは確かなのですが、出来上がった作品には違いが出てきます。

私はデザインの本をめくりながら、後者の作品はプロダクト的な要素もあり、またインテリアとして面白い花なのだと思っています。ただ最初にもお話した自然を尊重する気持ちがあってこその生け花でもあるわけで、まだまだ「花をデザインする」とは奥深いところがあると思います。今年はこの「デザイン」というキーワードで作品を生けていこうと思っています。


さて・・・うまくデザインできるかしら・・・。


コメント