7月の生け花・エッセイ

【花器】 ガラス花器
【花材】 フトイ・ひまわり(八重咲き) ドラセナ
【生け方の解説】

今回は夏らしい生け花を、シンプルなデザインで生けてみました。フトイを花器にあわせて縦に器いっぱいに入れます。

長さを切り揃えますが、フトイは軽いので水を入れると浮いてくる所があります。あまり神経質にならず、凸凹が出るのもまた面白いです。

フトイをびっしり詰める事により花留めになりますので、それを利用して今回はひまわりをバランス良く配置しました。茎が並ぶところにアクセントとして、ドラセナの葉を足して出来上がりです。
【エッセイ 第三十七話】

いよいよ蒸暑い京都の夏の始まりです。私も毎日、汗ぐっしょりなりながら生け花に走りまわっております。

また各所で祇園祭りのお囃子が聞こえ出し、毎年の事ながら少しウキウキする7月です。17日の山鉾巡行はちょうど私の事務所のそばを通りますので、毎年見るとはなしに見ています。有名な祇園祭りの山鉾ですが、最近の私は、鉾に飾られている装飾品の織物や山鉾の上に飾ってある美術品よりも、全体のフォルムに興味があります。

もちろん装飾はどれも美しく、雅であり豪華な山鉾は素晴らしいです。まさに動く美術館のようです。下には大きな車輪(鉾車)があり横に胴掛という飾りあります。囃子方の方たちが乗られる上には大きな屋根もあります。

その屋根より天に向かって立つ大きな柱の上の和縄でまかれた真木(しんぼく)の一番先を鉾頭といい、鉾それぞれの特徴ある飾りが付きます。全体のフォルムを離れて見た時、鉾の車体と真木の上の鉾頭のバランスの格好良さには、とにかく参ってしまいます。ちょうど私が花を生けている時に思うバランス感覚に似た感じがするのです。

その花というのも装飾的な生け花というよりは、神仏に奉る感じの花の生け方に似ている気がします。ただ精神的な表現と言っても、思いが強いだけでは表現力が弱いという事があると思います。おそらく山鉾は、先人たちが神々に奉る思いで作られたものだと思います。

いつの時代にも人々を魅了したその形は精神性はもちろんのこと、やはり見た目にも美しいバランス感覚とデザイン力があるからでしょう。私もそこに惹かれ、先人が作り出した祭事の思いのなかに現代のモダンを感じたのでしょうか。


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