9月の生け花・エッセイ

【花器】 船型コンポート
【花材】 野薔薇の実、グロリオサリリー、木イチゴの葉、トウガラシ(ブラックパール)
【生け方の解説】

今回も花留めにオアシスを使用します。 器いっぱいにオアシスを入れた方が、枝などを使う時にはバランスがとりやすいです。

まず野薔薇の実の枝ぶりを見ながら、動きの面白いところを見せるようにオアシスに挿します。今回は2本の枝をアーチのようにしました。アーチの中に空間ができるので、そこに花を生けるわけです。

まずはオアシス全体に木イチゴの葉を入れます。この時注意することは、オアシスを隠すことにとらわれず、あくまで自然な葉の重なりになるようにします。

次にグロリオサの花を枝とのバランスを取りながら生けていきます。あまり花を大きく生けてしまうとアーチの空間の良さが無くなるので、注意が必要です。仕上げはトウガラシの実で木イチゴの葉にアクセントをつけて出来上がりです。
【エッセイ 第三十九話】


さぁ!秋の婚礼シーズンの幕開けです。私も秋から冬にかけいくつかの婚礼装飾花のご予約を頂いており、あれこれデザインを思案する毎日です。

花の装飾は披露宴では欠かせないものとなっているこの頃です。ウェディングの雑誌や本などでは、華やかで豪華な装飾花がよく見られます。

私の場合、担当しております会場は日本庭園が美しく、また宴会場はモダンな建物です。その上立地場所も南禅寺のそばということで、式を挙げられる方は和風好みの方が多いようです。ですから装飾花も自ずと和風のデザインとなり、ゴージャスな装飾よりはシックでモダンなところに落ち着きます。

私も花いっぱいで華々しいよりも、花が少なくてもより思い入れ深いお花でお客様をもてなす雰囲気がいいのでは、と挙式されるお二人にお勧めします。いくら私がおもてなしの気持ちを込めて花を生けてもやはり第三者でしかなく、これでよいのかしらと自問自答することがたびたびありました。

そこで最近は御当人たちにも手作りで飾花などを作ってもらうことをご提案し始めました。前もって作りますので生花では無理ですが、昨今流っておりますプリザーブドフラワーやアーティフィシャルフラワー(造花)を使い、ご自身のブーケやご両親への贈呈アレンジフラワーなどを作っていただくわけです。

このアイデアはうまく受け入れていただき、ご当人たちもご自分たちで作り上げることに大変満足され、また当日の会場も暖かい雰囲気に包まれます。手作りの良さをいっぱい感じる、オーダーメイドの会場装花になります。

一緒に製作していくうちにご当人たちとも距離が縮まり、私の気持ちも高まり当日を迎えます。今までは生花に限って装飾をしていましたが、プリザーブドフラワーや造花も良い品質のものが増え、デザインも新しい可能性があると感じました。


いずれにしても今まで新しい装花デザインを常に考えて会場を作ってきましたが、やはり最終は作り手のおもてなしの気持ちの表現であり、ご当人たちとのコラボによる装花はいいものだなと・・・二人の純粋なおもてなしの気持ちが少しでもお客様に伝わるようなお手伝いが出来ていれていればいいなと思います。


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