1月の生け花・エッセイ


【花器】 半月型塗り盆(赤、黒)
【花材】 大王松(だいおうしょう)、南天の実、シンピジューム、赤バラ、レースフラワー、金柳、ゲーラックス
【生け方の解説】

今回の作品は目線を少し上に持ってきました。
お盆を二つ並べ、ひとつの画面としてデザインしていきます。

はじめに中央のアレンジを、オアシスをベースにして作ります。
ゲーラックス(丸い葉)→赤バラ→シンピジューム(白い蘭の花)の順で挿すと、シンピジュームが一番上にきて、うまく正面を向きインパクトが出ます。

次に南天の実をお盆に載せて、間からレースフラワー(白い花)を挿します。
松は大王松の松葉をはずしたものを金銀の水引でまとめます。
このとき全体を少しねじるようにして扇形に開き、松葉の緑がたくさん見えるようにすると、より一層迫力が出て華やかになるでしょう。

松葉を載せ見えないところに小さな剣山を置き、そこから金の柳をアクセントに挿して出来上がりです。
【エッセイ 第四十三話】

新年明けましておめでとうございます。

2009年丑年 昨年よりの世界的な経済危機のなか新年が明けました。これから始まる激動の年に向かうにあたり自分自身の軸を確認するお正月となりました。

大学生の時、花屋さんへバイトに行ったのがきっかけとなり、花屋での修行、同時に生け花の勉強を始め、花の仕事も今年で30年となります。花を生ける事はとても好きな仕事ではありますが、いつも状況変化のなか自分も変化しつつ歩んで来たと思います。

おそらく今年も変化に応じ頭を柔軟にして、また脳を活発に働かす努力をして時代に応じたアイデアを生み出さなくてはと思います。経済危機のニュースのなか気合いも余計に入ります。ただそこで思ったことなのですが、変化を求める時こそ自分の軸となるものを確認しなくてはと思いました。

さしずめ私としては花を生ける事こそが自分の軸なのですが、時として柔軟な考え方と称して別の楽な仕事の仕方をしていたかも知れません。また以前どうも思いどおりに仕事が出来ない時、少し自棄気味になり花の仕事以外のことを考えてしまった事がありました。

その時は母に「あなたの仕事は花を生けること」と諭されました。すごくシンプルな一言に「あっ、そうなんだ!これこそ自分の軸にしなくては」と思いました。今のような日々変化が求められる時こそに、自分の軸である「花を生ける」を精進し、またひとつステップをあげなくてはと思う新年の始まりでした。まだまだ修行は続きますね。


本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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