1月の生け花・エッセイ

【花器】 朱塗り水盤
【花材】 白梅・たちひかげ
【生け方の解説】

新年一番の花は白梅としました。幹が太く、短くても枝付の良い物を探してみました。

実はこの白梅は迎春飾り用の盆栽を切り取りました。本来の姿は立ち姿だったのですが、横にすると花の勢いがより際立ちました。花姿と枝の勢いをよく見て、花器にあわせて生けました。白梅が動かないように木の根元に小さな剣山を付け、それを隠すようにたちひかげがあしらってあります。
【エッセイ 第五十五話】

新年を迎え皆様のご健勝と御多幸をお祈り申し上げます。旧年中は数々のお力添えを頂き誠にありがとうございました。

さて例年どおり大晦日の夕方まで、承っておりましたお客様方の迎春生け花を生けてまわり、夜はこれもまた例年どおりのお蕎麦屋さんで年越しそばを頂き、最後に我が事務所の大掃除をしている間に年越しをしていました。

すべて例年どおりでしたが、今年は母を亡くしての初の正月となりました。例年は母に頼まれ実家の迎春生け花をしていたのですが、今年は父が清楚に花を生けておりました。

静かにすごすお正月。父の生けた花を見て、花の持っている優しい美しさに癒されておりました。長く花の仕事を続けて参りましたが、今さらながら花を生けるという事は素晴らしいなと思いました。生け方のルールやデザインなどにとらわれずに、父の気持ちで生けた花はなかなか素敵でした。

先ほど長く花の仕事を続けてと言いましたが、実のところは、ただ年月を過ごしてきただけかも知れません。技術やデザイン、またちょっとしたこつなどで花を美しく見せることばかりに気をとられ、本質としての花を生けるという行為の奥深さにはまだまだ勉強不足な私だと思いました。

花の生け方を、花の自然な姿や花の持つ出生を見極める事に学びながらも、今年はより自分の気持ちや生き様も表現出来る花にしてみようと思います。時として我が儘な作品になりはしないか、またひとりよがり的な花になりはしないかと少し不安でもあります。

だからこそ自分を見つめ直し、自己を鍛え、品格を備えた花を生けることができればと思っております。


本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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