12月の生け花・エッセイ

【花器】 黒鉄製コンポート
【花材】 サンダーソニア・ドラセナ・姫リンゴ・松ぼっくり(ゴールド )
【生け方の解説】

秋の京都北山の紅葉を背景に撮りたかったのですが、出かける間もなく我がアトリエの仕事机の日常を撮ってみました。仕事の隙間に自分用の花を生けて楽しみました。
薔薇はピンク色に魅せられたので、赤バラは脇役にまわってもらいました。トクサは小さな青竹垣みたいでバラの色をより際立たせてくれました。
【エッセイ 第六十六話】

慌ただしく師走となりました。11月末に京都南座で顔見世大歌舞伎が始まりますと、いよいよ年の瀬だと感じます。京都が観光都市として人気があるのは、年中月ごとに上手な催事や祭事があるからでしょうね。

さて歳とともに時間の過ぎ去る早さを実感する私ですが、同じく記憶力の低下も感じるこの頃です。秋の婚礼シーズンの忙しいなか花の作品写真を整理する用事がありました。過去そんなに時は経っていない、古くても3年前くらいからの作品なのですが、いくつかは自分の作品でありながら完全に忘れていたものがありました。正直ショックを受けました。

たくさんの作品を生けても写真に納めようと思うのは、やはり自分が感動したもので思い入れある花たちです。そんな思いの作品を忘れていたなんて、記憶力だけの問題でなく感性も衰えたのかしらとダブルのショックでした。

少し凹みながらたくさんの写真を見ていたのですが、ポジティブに考えてみると過去より少しずつではありますが、また新たな気持ちで花と向かいあっている自分がいるようにも思えました。良いデザインとか、いいセンスに向上しているとかでは無く、出会う花それぞれに今の私自身を反映して素直に花を生けているのが自分だと思いました。

記憶ももちろん必要だと思いますが、過去に縛られるのはよくないなと自分に言い聞かせ歳のせいで記憶力が落ちたのではないと自分を慰める私でした。

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