10月の生け花・エッセイ


【花器】 -
【花材】 鶏頭・サンキライの実・木イチゴの紅葉・ピンポン菊(黄・ピンク)
【製作意図】

秋の深まる様子を少し力強く表現してみました。
サンキライの枝ぶりを生かして野趣あふれる作品にしてみました。
鶏頭の深く厚みのある赤もこの時期独特な色合いです。
【エッセイ 第七十六話】

10月に入りめっきり秋らしい日が続いています。花の仕入れに市場に行きますと、秋らしい落ち着いた色あいの花に気持ちもほっこりと癒されます。と言いたいところですが、週末の婚礼用の花を揃える為に血眼になっている私です。最近は微妙な色あいなどのご注文もありますから、そのリクエストにお応えするべく奮闘しているわけです。

さて、そんな忙しい婚礼シーズンですが大学の授業も後期日程が始まりました。先日の講義は「花に出会う」がテーマでした。花と言いますとやはり美しく咲いた花を思い浮かべます。でも授業では花を植物全体として捉え、咲く花だけでなく葉や茎・枝などにも意識して出会ってみる事の面白さを講義しました。

野山の木々はもちろん市内の街路樹、また町内の住宅の外構にも花があります。見渡しますと花に囲まれている生活です。今の季節ですと、いつの間にか道端に彼岸花が咲いていたり、キンモクセイのいい香りがしてきたりします。そこでせっかく花木が身近にあるのですから、少し意識して花を見て感じてみましょうと。そうして季節を感じまた命ある花たちの自然の姿に何かを学んでみる事を「花に出会う」としたわけです。

デザインやアート表現のモチーフにはよく植物が使われます。花木のフォルムは面白く、また季節の彩りには植物の色は大切なデザイン要素です。私が思うところ自然をよく学んでデザインすると、その作品に安心感を感じるように思っています。


若い学生さん達に伝わったでしょうか。


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