4月の生け花・エッセイ

【花器】 -
【花材】 雪柳・ラナンキュラス・ニゲラ・ブプレリウム・バラ
【製作意図】

雪柳の花が鴨川べりに咲いております。暴れた枝ぶりですが荒々しさは無く、春らしいたおやかさがあります。
雪柳の花越しにピンクの春を覗いてみました。
【エッセイ 第八十二話】

桜の季節となりました。今年は天候不順で今だ寒い日もあり、京都の桜もゆっくり咲き出しております。それにしても先日吹き荒れました強風には驚かされました。鴨川べりの垂れ柳の枝が真横になるほどの風でした。

さて例年桜の生け花もこの時期にたくさん承ります。やはり日本人にとって桜は特別な花なのでしょう。欧米に合わせて東京大学が秋からの新学期を採用すると聞きましたが、桜咲く4月スタートのほうがいいなぁと思ってしまいます。

また私にとりましても桜は思い出深い花です。かれこれ20年近く前になりますが、まだバブル景気の頃でしょう。とあるイベントで大きな桜を生けました。高さが4~5メートルもあり枝ぶりも立派な桜を仕入れました。いざ生け込む時にその桜の幹を見ますとくっきり年輪が刻まれています。これくらい立派になるには何年くらいかかるのかしら?と思い数えてみました。なんと35年。その当時の私と同い年だったのです。愕然としました。同じ時代を見てきた仲間のように思え、またその命を絶ってしまった気がしたのです。

花を生けることが楽しくて仕方なかった私ですが、その時より花の命にもっと畏敬の念を持とうと思いました。ただ装飾として花を生けてきた私に「花を生ける」とは?を考えさせてくれた出来事でした。



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