10月の生け花・エッセイ

【花器】-
【花材】ダリア・糸菊・ピンポン菊 
【製作意図】 
秋の花 ダリアと菊を緑の葉を使わずに色の表現としてみました。
光の当たりかたでダリアの花色が微妙に変わります。
 【エッセイ 第八十八話】

ついこの間まで「まだまだ暑いね~、夏はいつまで続くのかしら」と言っておりましたが10月に入り過ごしやすくなりました。仕入れますお花も涼しくなり生き生きとしています。花の持ちも良い季節ですので嬉しくなり、花市場へ行きますと仕事を忘れてあれもこれも買ってしまう私です。

さて先日流通ジャーナリストの金子哲雄さんがお亡くなりになりました。ワイドショーなどで報じられましたように自ら葬儀の段取りをし、またお別れの手紙までご用意されました。潔く自らの死に向かい合うお姿に畏敬の念をいだくばかりです。

私の仕事柄 生と死を考える事はよくあります。花を生けることのひとつは、枯れてしおれていく姿をみとどけることも忘れてはなりません。そう花の死をみつめることも大切なことです。 花の命は短く、きれいに生けた花も一週間程たてば枯れてしまいます。たくさんの花を生ける仕事ですから、それを慣れっこにはせずに意識して花の死をみとどけることにしています。

金子哲雄さんが自分の死に対して覚悟をきめ葬儀の準備などをされたのは、自分自身の死をみとどけることをされたのでしょうか。流通ジャーナリストという仕事をなさっていて人生のプランニングも考えておられたとしても見事な死の迎え方をなされました。

金子哲雄さんの祭壇の花。潔いなかにも優しい曲線を取り入れたデザイン。彼の人柄が表されておりました。

ご冥福をお祈り申し上げます。




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