2月の生け花・エッセイ


【花材】
椿 雪柳

【制作意図】
立春の頃は椿が美しく咲いています。雪柳に花がつくのにはまだ早いですが、春を待つ気持ちで生けました。 形に囚われず両側から中心へ向かって、ばさっと生けました。 
偶然の花と花の出会いを楽しむ生け方だと思います。

【今月のエッセイ】
 立春も過ぎました。花市場はたくさんの春の花でいっぱいです。
桃の花、山茱萸、れんぎょうや桜などの枝物を仕入れています。事務所は一足早い春の風景ですね。もちろんチューリップやスイトピーなどの花物もたくさんありますが、やはり野山にある木に花がつくのは嬉しいものです。昨今は都会でも街路樹やビルのエントランスには花木が美しく植えられていて、いつも身近に自然を感じさせてくれます。
だからでしょうか、木の花で季節の訪れを知る楽しみがあると思います。     

 お花の話しとは繋がりは無いのですが、先日とても楽しい経験をしました。いつもお花を生けさせて頂いておりますお茶屋のお姉さん(芸妓さん)がゲストで出演なさるということで、初めて演劇ライブを見に行きました。普通の演劇とは少し違い舞台やセットもなく、まさに目の前で会場全体を使ってのパフォーマンスでした。演じる役者さんは男性お二人。映画やVシネマなどで活躍中の松田優さんと木村圭作さんです。
映画や演劇が大好きな私ですから、ほんと手が届く近さでの演技を楽しみにしてその日を待っていました。
で、当日。思っていた以上の迫力と素晴らしい演技を見せて頂きました。

そして実はものすごく勉強になった事があります。小さな会場でのライブですので開演前の準備もご自身たちでなさり、客席をうろうろされています。気軽に声もかけて下さりアットホームな雰囲気です。演じられる役者さんが普通に傍に来られるのも新鮮な驚きでした。
ところがいざ演目が始まりますと、顔つきがかわり役に入りこまれます。もちろんプロの役者さんですから当たり前の事なのでしょうが、先ほどまで普段の顔をされていたのが一転したことに驚いてしまうと同時に、表現することの力強さを目の当たりにしてとても感動しました。
私は花を生ける事で果たして自分を表現できているかな?などとも思いを巡らせながら見ていました。
 
いつも「自然な花姿の美しさを生ける。」が好きな私ですが、知らず知らのうちに、その中にも自分を表現しているでしょうね。
今回表現することの面白さを勉強させていただいた観劇でした。



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