3月の生け花・エッセイ


【花材】唐桃、ぜんまい、スイトピー、小手毬
【制作意図】

ピンクの唐桃は春爛漫のイメージです。ぜんまいの形の面白さや小手毬の淡い緑など、どれをとっても春が来た雰囲気を作ってくれます。あまり形を整えずに花瓶に生けました。赤いスイトピーがアクセントです。

【今月のエッセイ】

3月に入って春の兆しが至るところで見られますね。レンギョウの花・ミモザ・木瓜の花・桃の花と、桜が咲く前にもたくさんの花たちが春の訪れを教えてくれます。そして花粉の時期ですからマスクやメガネを着けている人が目立ちます。

私も例年花粉症に苦労していたのですが、ここ数年は症状も軽く薬やマスクのお世話にならずに済んでいます。特別な治療などしていないのですが、歳と共にマシになりました。どのような免疫ができたのか不思議です。


さて先月ですが京都造形芸術大学の卒業制作展を見て来ました。講師になりましてから欠かさず行っておりますが、いつも新たな感動と驚きがあります。一週間の会期があり、その間キャンパス全体が美術館になります。


昨年の秋に情報デザイン学科の学生から取材を受けました。仕事に取り組む姿勢や哲学、そして働く意義などのインタビューに答えました。また実際に花を生けている姿の撮影など丸一日の密着取材です。「ミニミニ情熱大陸」みたいですねぇ。などと話しながら楽しく取材を受けました。

その学生は私の他にも15人のクリエーターや職人の取材をして、一本のドキュメンタリー映像作品を仕上げ卒業展にて発表しました。その作品を観るのが私の卒業展でのメインイベントでした。作者の意図は「ものづくり」を通して、ことば、顔、表情、それらの間にある様々な意味、情報の興味深さにスポットを当てたものです。

16人の取材をまとめ映像化するには、とても苦心したであろうと思いますが、どの出演者もクールに、そして淡々と編集されていました。そのクールな部分がわざとらしく無く、とても自然な姿勢で「ものづくり」に取り組む姿が描かれていました。クリエーターであれデザイナーであれ、また職人であっても「ものづくり」から滲み出る人物像があるのだと感心しながら観ていました。


私の出演はともかく、とても好感のもてる作品でした。卒業後も映像関係の仕事をするようです。これからの益々の活躍を祈るばかりです。しかし、私の出演場面は気恥ずかしくもあり、出来たらもう一回取り直したらもっとかっこ良く話せるのになぁ、などと思いながら観ていました。




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