2020年10月の生け花・エッセイ

 

(1作目)



【花材】
ネリネ・マンサク・白竜胆・野バラの実

【制作意図】
秋になりますといつの間にか咲いています彼岸花。このピンクのネリネも彼岸花の仲間です。ピンクの花をポップアートな表現にしながらも、紅葉が始まりかけた自然な風景をマンサクに合わせみました。アートフルな作品になったと思います。
2作目はマンサクの葉を印象的に表現しました。一つの枝のようですが、葉を組み直して生けてあります。

【今月のエッセイ】

秋になりました。例年ですと催事がたくさんある時期ですが、コロナ渦で規模が小さくなったり、また延期されたりしています。そんな最中、父が油絵の個展をささやかに開催しました。延期するか中止にするか、ぎりぎりまで迷っていましたが、コロナ感染予防の対策もして小さな展覧会を催しました。前回の個展から6年ぶりとなります。齢88歳になりました父は、おかげさまで元気に絵を描き続けています。もう油絵のキャリアも40年以上になります。趣味で絵画教室へ通い、定年後は日本各地へスケッチ旅行に出かけ描き続けています。

特に日本各地の灯台の絵をたくさん描いています。今回の個展も日本各地の灯台がほとんどを占めました。私も会場に彩りを添える為に花を飾りました。私としては個展お祝いの気持ちで飾るつもりでしたが、父の強いこだわりもあり、父の要望の花を飾ることになりました。そのこだわりも個展会場の一環として、自分の世界を造りかったのだと思います。

おかげさまで盛況の個展となり、たくさんの絵画に売約済みの印がついていました。(絵の売り上げは全額日本赤十字社を通じて熊本地震の被災地への寄付になります。http://redcross-kyoto.jp/wordpress/岸%e3%80%80滿男様から熊本地震災害義援金をお預かりし/)個展会場で売れました絵について父の話しを聞いていますと、それぞれの灯台に思い入れがあるのがよくわかります。

一つの絵の前で父は「この友ヶ島灯台の絵は売らずに手元に置いておきたい」と言い開始前から売約済みの印がつけていました。「友ヶ島灯台」へのスケッチ旅行は亡くなった母と二人で行った思い出の絵画なのです。そんな二人一緒に見た風景が絵になり額に収まり、それを大切にしたい父の姿。

息子としてとても嬉しい気持ちになった秋の一日でした。



(2作目)

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