2021年3月の生け花・エッセイ

(1作目)


【花材】

(1作目) 姫水木、椿、こでまり

(2作目) チューリップ(フレミングパーロット)

【制作意図】

(1作目) 春の訪れを伝えてくれる花達を、あまりデザイン的にならないように生けました。一見無造作に見えますが、枝と花のバランスが難しい作品です。

(2作目) 個性的なチューリップです。葉を整理して茎の面白さと個性的な花で構成しています。シンプルなデザインで花の個性を表現しました。

【今月のエッセイ】

一雨ごとに春の兆しが見られるようになって来ました。昨年の緊急事態宣言時から始めましたウォーキングも一年が経ちます。ウォーキングコースの京都御苑の梅の花が、日に日に咲き始めています。梅、桃、桜と、これから開花が楽しみな木々の間を歩いていますと、とても贅沢な気持ちになります。こんな時ですからこそでしょうか、改めて自然な風景に癒されています。

さて2月半ばに非常勤講師を勤めています京都芸術大学の卒業制作展に行って来ました。例年私の大切な行事のひとつになっています。いつも学生達の力のこもった作品、楽しくファンキーな作品、そして研究発表を興味深く観賞して一日を過ごします。そして今年度はコロナ渦の年度を過ごした学生達の作品です。きっといつもとは違う環境下での卒業制作。それぞれ苦心もあっただろうにと、思いながらゆっくり観賞しました。

私の講義を受講した学生の作品に目が止まりました。彼女は華やかでは無い自分の内面を作品にしてデザイン・美術を学んで来たようです。そして卒業制作のテーマは「皺」。私の歳になりますと皺は、とても身近に感じます。おでこや目尻に皺が増えて来るのはもちろんですが、皺の溝の深みに積み重ねて来た経験が蓄積されていると思いたい私です。実のところは、まだまだ大した皺の深みなど無く、ツルツルの肌に近い経験しかしていない私です。だからこそ皺の数と共にもっと知識も持ち成長したい憧れもあり「皺」と言うテーマに頷いてしまいました。

彼女が真っ白のシャツに「皺」をモチーフにプリント作品は、とても気になって卒業制展後に譲って頂きました。すぐに着てみたのですが、なかなかおしゃれでワクワクした私です。やはりまだまだ経験豊富な皺を持つには、まだ数年かかりそうです。





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