2022年1月の生け花・エッセイ





【花材】

餅花、ダリア、仏手柑、ひかげかずら

【制作意図】

縁起物のもち花を作って、その前に真っ白い花器に紅いダリアを生けました。
紅白でおめでたい作品にしました。
仏手柑、ひかげかずらも新年にふさわしい花です。

【今月のエッセイ】

新年おめでとうございます。お正月三ヶ日もあっという間に過ぎました。花市場の初せりも5日に始まり、早くも春の花たちが市場に並んでいます。コロナ渦のお正月も昨年に引き続きですが、初詣の人達で京都の名所は賑やかです。私は年末に迎春装飾に追われていましたので、三ヶ日はゆっくり休んで過ごしていました。まさしく寝正月です。ゴロゴロしながら音楽を聴いたりテレビを観たり。気を張ることなくお節料理とお酒も頂き…もしかしたら旅行に出かけるよりも贅沢な時間を過ごしていました。

テレビもですが、最近の流行りでしょうか、ネット動画のコンテンツもたくさんあり観る物がたくさん選べます。せっかく時間もありますので、気になっていました北野たけしさんの修行時代を描いた【浅草キッド】を観ました。

師匠の深見千三郎さんとたけしさんの物語。エンターテイメントとして面白い映画なのは評価どおりです。また、そこにある師弟愛に感動させられました。芸人修行中のたけしさんの物語ですが、その時代には芸人でなくても、師弟関係が今よりたくさんあった気がします。

職人もそうですし、私も花屋で修行した時代を思い出しました。当時は地方の花屋の子息が住み込みで修行に来ていましたし、私は通いでしたが同じような気持ちで働いていました。当時の花屋のご主人が私達若い者の師匠だった時代と重なり、心動かされる場面がいくつもありました。また一緒に修行し切磋琢磨しあった仲間達との関係も同じように感じられました。

残念ながら私達の師匠だった先代のご主人は亡くなられ、当主は息子さんの代となりました。今もとても親密にお付き合いをさせて頂いていますのも師匠のおかげだと思います。昨年末に少しお手伝いに行きましたところ、一昨年に花屋を引退した修行仲間が手伝いに来ていました。その光景に、昔同じように厳しい師匠のもとで頑張った頃を思い出しました。

新年にこの映画を観て改めて自分の花仕事のルーツを思い、また新たな想いでスタートする気持ちになりました。そして良き師匠に感謝すると共に、私も良き師匠となるべく気を引き締め頑張ろうと思う正月でした。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。




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