2022年3月の生け花・エッセイ

(1作目)




【花材】

(1作目)デルフィニウム、リューココリーネ(紫)、桜、桃、アルストロメリア(黄色)、ポリシャス
(2作目)リューココリーネ、桜

【制作意図】

春の訪れを柔らかいイメージで表現しました。デルフィニウムの茎の細さのおかげでピンクの花が軽やかに生けられました。

2作目の作品もリューココリーネの細い茎に魅せられ、そこにポイントを絞り生けました。

【今月のエッセイ】

京都市の友好都市は、パリ・ボストン・ケルン・フィレンツェ・キエフ・西安・グアダハラ・ザグレブ・プラハと9都市あります。今、大変な状況下にあるウクライナのキエフとは1971年に姉妹都市提携が結ばれたようです。なんと50年以上前から文化や観光や行政分野で交流があり、1981年には姉妹都市提携10周年を記念し、キエフの中心部に日本庭園の「京都公園」が造園され京都市から石塔や桜が寄贈され、その公園が面する通りは「京都通り」と命名されたそうです。

近年は茶道裏千家の青年部方々が日本・ウクライナ外交関係樹立記念事業の一環でキエフを訪問されています。キエフからも観光や行政分野を学ぶために、学生さん達が京都大学などを訪問されたりと、音楽や文化・環境・伝統工芸などの発展ために様々な交流を続けられているようです。「~ようです。~だそうです。」と続くのは、私自身も京都に住みながら、長い間キエフとそんなに深い交流を続けていたことを恥ずかしながら詳しくは知りませんでした。

そのキエフから姉妹都市提携30周年とウクライナ独立10周年の記念に、京都市役所の前に寄贈された大理石のモニュメントがあります。モニュメントの前には献花台が設置されました。市役所前に並ぶ花束の数々。ニュースでも花に平和を願う気持ちを添えて献花されている学生さんや、心を痛め涙目になりながら小さなお子さんを連れている若いお母さんなど、皆さんまさしく祈りの気持ちを花ともに添えておられました。花の仕事をしている私にとっては、花が登場する場面として、とても気になります。

花が果す役割はたくさんあります。華やかな装飾、またその美しさや生命感から得られる癒し。芸術としての生け花もあります。そして今回の平和を願う献花。その様子を見ていますと、花に託される人々の祈りがそこにありました。

「祈りの花」も花の大切な役割です。

SNSやニュース映像でウクライナの状況を見るにつけ心が痛みます。第二次世界大戦以降、悲しい事に世界では紛争や戦争が絶えずいくつか起こって来ました。政治や経済など背景には複雑な事情があるとはいえ、人々は平和で穏やかな生活を望んでいるはずです。どうか一日も早く戦争が終わる事を願うばかりです。



(2作目)

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