2022年11月の生け花・エッセイ

(1作目)





【花材】

(1作目)胡蝶蘭、糸菊、スプレー菊、トルコキキョウ、グロリオサ、ケイトウ、バラの実、リキュウソウ、キイチゴの紅葉
(2作目)糸菊


【制作意図】

急に冷え込み始めましたので、暖かい色あいの花達を生けました。最初グリーンの葉も無く、こってりとした花だけで生け始めましたが、やはり少し動きのある利休草の葉を使う事で、みずみずしい植物の良さが出たと思います。
2作目は秋らしい糸菊を一本、すっと立てました。一本だけですが存在感ある花だと思います。


【今月のエッセイ】

秋の観光シーズンです。コロナによる入国審査も緩和され京都にも外国人観光客が増えて来ました。コロナ前ほどではありませんが、観光都市京都の風景が戻ってきたようです。

先日も京都芸術大学で学んだ留学生が3年ぶりに来日し、私に会いに来てくれました。私の講義は選択科目でたった15コマしかないのですが、印象に残る学生で熱心に受講してくれていた事をよく覚えています。もう卒業してからも6~7年は経つはずなのに、会いに来てくれてとても感激しました。一緒に食事をしながら当時の授業の思い出話しに花が咲くかと思っていたのですが、いやはやこの世の移り変わりの早さや情報満載のネットのおかげで話しのネタはあれやこれやと多く、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

今秋から始まりました大学の講義も、もう半分が過ぎました。花・草木の講義だけでなく、それに関連した私の経験なども話します。先日は茶道のおもてなしの心 「四規七則」について話しました。私が花を生ける時の心持ち、そして仕事におけるお客様への接客にも役立っているからです。学生達にはまだ若さゆえにピンと来ないところもあるかもしれないなぁ、と思いながらの授業でした。でも卒業して社会に出てからもきっと役立つ教えだと思いますから、少し眠そうな学生も居ましたが熱く語りました。

先日訪ねて来てくれた卒業生のように、数年経っても私の熱い語りを覚えてくれる事を祈りながらの授業でした。まったくの自己満足な私ですが、それもありかなと思っています。

「 四規とはー 和敬清寂(わけいせいじゃく)」
和・お互いに仲良くすること
敬・お互いに敬い合うこと
清・外見だけでなく心の清らかさ
寂・どんな時にも動じない心

「 七則とはー お客様をもてなす時の七つの心構え」
一、茶は服の良きように点て
ニ、炭は湯の沸くように置き
三、冬は暖かく夏は涼しく
四、花は野にあるように入れ
五、刻限は早めに
六、降らずとも雨具の用意
七、相客に心せよ

意味は、 「心をこめ、本質を見極め、季節感を大切にし、命を尊び、ゆとりを持ち、柔らかい心を持って互いに尊重しあう」




(2作目)

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