2023年5月の生け花・エッセイ

(1作目)




【花材】

(1作目) 菖蒲、オクラレルカの葉、夏ハゼ、オンシジューム(白雪)、ピンポン菊、夕霧草
(2作目) ベル鉄線、矢車草


【制作意図】

端午の節句の花菖蒲。高さを競い合うように凛と生けるのも良いです。
今回はあまりに開花が力強い美しさを放っていましたので花をメインに表現しました。
2作目は知り合いの作家さんに作っていただきました一輪挿しです。
どの花を生けても、またどのように置いても素敵なインテリアになりました。


【今月のエッセイ】

ゴールデンウイークはたくさんの人出でした。京都観光の名所の一つ錦市場が近所にありますが、コロナ前以上の混雑ぶりには驚きました。アーケードが続く道幅いっぱいの人出を見ると、コロナ禍でのんびりと歩けた時が嘘のようです。

その錦市場のすぐ近くに有名な「錦湯」という銭湯がありました。残念ながら昨年の6月に閉館になってしまいました。私のアトリエからも近いのでとても贔屓にしていた銭湯です。銭湯というより私は子供の頃からの呼び方「お風呂屋さん」という感じが好きで時折通っていました。大正時代の末期に建てられた木造3階建てのお風呂屋さんです!もうそれだけでレトロな雰囲気をイメージしてもらえると思います。私は少し遅い時間によく行っていましたがコロナ禍もありお客様は少なく、のんびりとほぼ貸し切り状態でお風呂を楽しみました。

聞くところによりますと、コロナ前は観光のお客様も多かったようです。やはりコロナの影響と建物の老朽化もあり閉館になってしまったようです。でも今の京都観光の賑わいを見るともう少し残って欲しかったです。銭湯好きな私はまた別の銭湯へと通うようになりましたが、どうも近代的な設備の銭湯よりも、少し遠くても「お風呂屋さん」のイメージがあるところに行っています。「岸くんはお風呂好きなんやね」と友人にも言われます。のんびりお湯に浸かり疲れを取り、サウナがあればサウナと水風呂を繰り返し(今時な言い方では「ととのう」とか言うそうですね)ではなく、私なりの銭湯流儀が実はあるのです。

坊主頭の私が銭湯に持って行くのは、石鹸(有名な牛が描かれた赤い箱)・髭剃り・泡立てネット(これは頭を剃るので必需品)・そして日本手拭いだけです。日本手拭いに拘るのは気分的にレトロなところも好きですが、頭を剃って湯船に浸かる時、ねじり鉢巻きにして汗が落ちるのを留めてくれるからです。持ち物も少なく、そして着替えも素早く、洗い場でさっと身体を洗い、さっと頭まで剃る。そして湯船へと。身体が温まるくらいでさっと出る。そして水を風呂桶で何回かかぶり、さっと出て着替える。時間にして20数分くらいです。

「せっかく銭湯行くんだからもっとのんびりすれば」とか「それならシャワーだけでええやん」と言われます。でも私の自分勝手な風呂流儀は、番台で入浴料金を払うところから始まり、さっと銭湯の暖簾をくぐり外の風にあたる。これがかっこいいと思い込んでいるようです。京都人ではありますが「これが粋って言うもんよ」などと江戸っ子気分に憧れている私です。




(2作目)

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