6月の生け花・エッセイ


【花器】 四角ガラス平皿
【花材】
バラ(ピンク)・・・スイートアバランチェ
バラ(オレンジ)・・・ファンデーション
バラ(黄色の小輪)・・・サニーイルゼ
ドウダンツツジ
【生け方の解説】

今回の作品は暑い日でも花持ちのよい生け方のテーブル花です。

1. まずオアシスの角を丸くカットしてセットします。オアシスの大きさは出来上がるアレンジのひとまわり小さいくらいを目安とします。

2. 薔薇を短くセットしたオアシスに花が乗るように挿します。茎がほとんど隠れるくらいの低さです。こうする事で、水持をよくして、茎から花が萎れるのを防げます。

3. 後は隙間を緑で埋めていきます。全体のフォルムを見ながら、丁寧に形を整えましょう。注意する点は上ばかりでなく、花器との接点です。オアシスが見えてないか確かめて出来上がりです。
【エッセイ 第三十六話】

京都も梅雨入りし、雨に濡れた町家の瓦がしっとり美しいです。

鬱陶しい季節でもありますが、私はわりに好きな風情としています。それは生け花も出来上がると霧吹きをします。露があると色も鮮やかで、植物の生命感も増すと思えるからでしょうか。

さて先月は私の趣味のミニカーの話しからカーデザインの事を述べました。私自身も、もう少し勉強がしてみたく、イタリアのカロッツェリア(自動車のデザインワークス)でスポーツカーの名門『FERRARI』をデザインされていました、奥山清行氏の著書[フェラーリと鉄瓶]を読んでみました。

さすがに自分の好きな分野の本ですから、あっという間の読破でした(^_^)v

すごく共感を覚える部分が多く、ものづくりにおけるデザインの大切さをあらためて感じました。

私の場合、もともとは池坊流でお流儀の生け花を勉強して、また独自に自然界と生け花について勉強して今日に至ったわけです。 しかし時に思うことは、華道やフラワーデザインの影響よりも、最近の私はイテリアや工業デザイン・建築デザインからの啓示を受けることが多いように思います。

本のなかで述べられていました言葉に、『デザインの破綻』というのがありました。花を生けていても同じく、面白いであろうと思いデザインに凝ったつもりが、なにかまとまりのつかないようになる時などは、まさに破綻していたわけです。

もちろん花という命あるものと向かいあうことは「命あるものが自然にある姿こそが美しい」という基本から考えてデザインする事が大事なことです。そこでデザインが破綻していたのは、まだまだ命ある自然への思いの無さがあったのかも知れません。

そんなふうに考えていると、今やあちこちで問われる、地球環境の保全にも考えが及んだ私でした。


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