10月の生け花・エッセイ

【花器】 陶器変形壺
【花材】 ムラサキシキブ、 木イチゴ、 桔梗、 鉄線の実
【生け方の解説】

このような器は、普通は投げ入れ花などに使います。(写真③)
今回はオアシスを使い、花の表情を印象的に見せてみました。(写真①、②)

器より背を高めにオアシスを入れます。まずはムラサキシキブがよく見えるように手前に向け入れていきます。実付のいいところをよく見て、一番美しいところが手前に来るようにするといいと思います。オアシスに木イチゴを重ねるように入れていきますが、同じ調子にならないよう表情をつけるほうが面白いです。先にピントを合わせる感じで桔梗の花を入れ、最後に鉄線の実をあしらい全体のバランスを取りました。
【エッセイ 第四十話】

さてもう10月です。秋の婚礼シーズンで忙しい日々です。

私の仕事は季節の先取り感が必要なことがあります。例えば今の時期で言いますと、お店のディスプレイなどは早めに紅葉を飾ってみたり、生け花も実がすでに赤く色付いた枝を生けたりします。婚礼の装飾も、披露宴に来て頂いたお客様に少し早めの紅葉などを楽しんでもらえるような花を生けたりとか・・・。

そんなふうにデザインを考えていると早くもXmasや年末年始へと突入してしまい、季節の早さを余計に感じてしまいます。そのせいもあるのでしょうか、最近の私は当季のものがとっても気になるようになりました。

歳を重ねてきたからと言うのもきっとあるのでしょうね。今この時の景色や風情にとても感じ入ります。

毎年この時期に、お得意様から同じお届け先へのギフト花の配達を承ります。その配達先は京都の中心部から北の方へ行った美山町というところです。嵐山から高雄を通り抜け、京北町を超えての約60kmのドライブです。このドライブコースがと言うのが、山道を走り峠を越え静かな町を通り抜け、山村の景色を眺めながらの運転となるわけです。

ほんとうに素敵なドライブコースで、窓の外に広がる深まりゆく秋を感じながらの配達は、ちょっと遠い配達なのですがいつも楽しくて仕方がありません。また途中には道の駅まであり、そこには興味津々となる品物がたくさん置いてあります。

採れたての野菜は本当に美味しそうですし、またさっきまで畑で咲いていたであろうと思われる草花たちには、何とも言えぬ野趣あふれた風情があります。配達の仕事を終えた帰り道にはそこでの買い物も楽しみのひとつです。

「これぞ当季の花!!」とばかりに花を買う私かと思いきや、実はこの道、北は福井県の小浜まで繋がっており・・・そちらからの品物でしょうか、運がいいと美味しい鯖寿司に出会えたりします。これこそが私が一番目指すところでありまして(笑)

いえいえ、やっぱり花も美味しいものも、旬を味わうと言うのは贅沢でいいものですね。


コメント