4月の生け花・エッセイ

【花器】 スクエア白皿・オアシスにハランのリボン
【花材】 リューココリ―・利久草・ピンポン菊(白・緑)
【生け方の解説】

今回の撮影はせっかくの4月ですので、桜をバックに花を生けようと、咲く前から各所ロケハンもしていました。

ところがいざ撮影の日、桜も美しく咲いていたのですが近くにある柳の緑に目がとまりました。新芽が出た春の息吹を感じ急遽場所を変更して柳をバックの撮影となったわけです。

青色のリューココリーネが緑によく映えて、桜をバックにするよりクッキリとした花姿が表現できたと思います。
【エッセイ 第五十八話】

4月に入り桜爛漫のなか、混雑する京都の町をスイスイと自転車で走り抜けているこの頃です。目にとびこむ桜の薄いピンクに桜餅を思い浮かべるのは、昨年来より和菓子職人の知り合いが増えたせいでしょうか。

そんな春のなか先日面白い展覧会を見て来ました。「アートアクアリウム展」会名を聞いて、はて?なんの展示でしょうかとネットで調べると、それは大きな水槽に泳ぐ金魚を使っての、まさにアートフルな表現展示のようです。

以前に観ました、土屋アンナさん主演の映画「さくらん」のなかで遊郭吉原の朱塗の門の上部を、ひらひらと金魚が泳いでいたのを思い出しました。これはかなり面白そうとイソイソ出かけて行きますと、やはり人気があるらしく長蛇の列ができていました。またまた期待は膨らみます。

さて入場いたしますと、暗い会場内にうまく照明を使い金魚が泳ぐ水槽を浮かびあがらせ、それはそれは幻想的な空間演出がしてありました。水槽もなかなか凝ったつくりの物ばかりでした。ひらひら泳ぐ珍しい金魚が美しく、しばし驚きながら見とれていました。すごいな~アートだなぁと思いながら進んで行きますと、次の部屋がメインなのでしょう、一段と照明が派手になり中央には大きな金魚鉢が置いてあります。さながら80年代ディスコのような様相でした。

また水槽を屏風のようにして、金魚の姿とシルエットを動く絵として表わした物もありました。新しい動く芸術を観た感じがし、しばし観終えた後も頭のなかをぐるぐる金魚が泳いでいました。


さて考えてみますと今回の展示、照明も演出も新しく素敵でしたが、なんと言っても生きている金魚の生命感こそが本当の観せ場だったと思います。思うがままに大きな水槽を泳ぐ姿にアートを感じると共に、ヒレや尾がひらひらする様は創られたものではできない自然な命の姿です。私も花を生け、常々忘れてはならないことのひとつに、命あるものへの敬愛を忘れてはならないことを新ためて思った展示会でした。



アートアクアリウム展 (毎日新聞社による記事と写真)

http://mainichi.jp/kansai/graph/20100323-2/



コメント