2021年4月の生け花・エッセイ


(1作目)




【花材】

(1作目) ニゲラ、スプレーバラ、利休草、バイモユリ、ミスカンサス、ポリシャス
(2作目) ニゲラ、カーネーション(グリーン)、クリスマスローズ、バラ、利休草

【制作意図】

初夏を思わせる色あいで花を揃えました。花瓶にふんわりと生けてあります。茎の交差に気をつけて、風が通る感じに生け、仕上げたミスカンサスの葉を茎の間から流れるようにしました。この最後の仕上げが難しいですね。

2作目はガラスのコップと小さな花瓶に、軽く投げ入れました。作為的にならずに生けるのがコツです。

【今月のエッセイ】

今年は桜が早く咲きました。コロナ渦の中でお花見も大人数で出来ませんが、京都の桜もいつもと変わりなく美しく咲き誇りました。そして例年通り各所へ桜の生け花もたくさんしました。桜を生けますと新年度の始まりを感じます。それと同時に最近は少し切なく思うようになりました。1年の早さを、桜を生けることで感じるからでしょうか。1年に1度のルーティンとして、毎年あたり前のように桜を生ける私。でも健康だからこそ、そのルーティンを続けられることのありがたさを改めて思ったり…別れや出会いなど、新しい始まりを感じる桜は、日本人にとっても特別な花なのでしょうね。

そんなセンチメンタルな気持ちを思い巡らせているある日、嬉しい事がありました。3年前に大学を卒業した教え子2人が訪ねて来てくれました。私の授業は選択科目で、15コマのだけの短いお付き合いです。でも2人とも当時、とても熱心に受講してくれていました。すっかり社会人になった2人はきらきらと輝いていました。2人とも東京で就職したこともあり、都会の大きさや人の多さに少し疲弊しながらも頑張っている姿はSNSなどで常々見ていて、遠くからですが応援していました。

そんな2人がまた新しい挑戦をしようと考えている事を伝えに来てくれました。専門科目の教授でもなく、一介の非常勤講師の私を覚えてくれていたことだけでも嬉しいのですが、今また自分達が挑戦しようとしている次のステップへの想いをわざわざ私に話ししに来てくれるなんて!とても嬉しくて感激しました。

4月。新しい年度。そして新しい挑戦。

彼女たちの姿は、桜を生けて少しセンチな気持ちになっていた私にとても元気を与えてくれました。歳はとりましたが新しい挑戦と言う響きに刺激をもらった私です。




(2作目)



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