2023年4月の生け花・エッセイ

(1作目)




【花材】

カラーの花(ピカソと言う品種)、キキョウラン(葉)、夕霧草、オンシジューム
2作目の小さい花→マトリカリア


【制作意図】

今回もお皿形の水盤に剣山での生け花です。キキョウランの葉の縞模様と、少し個性的な色のカラーの花。
どちらも同じくらいの表現力を持たせたい。そんな思いを込めて生けてみました。
一輪挿しは、キキョウランをメインに考えています。小さなマトリカリアの花がポイントです。


【今月のエッセイ】

今年は各地早めの桜の開花でしたね。京都も3月半ばから咲きはじめて、いつも仕事で通ります祇園界隈はとても賑やかでした。コロナ前の風景が戻って来た感じですね。
桜の生け花もたくさんしました。いつもの様に、花市場で各地で桜が咲くよりも先に仕入れ季節の先取りで飾り始めます。開花が早かった今年は、外の風景と平行して店内装花の桜を飾ることとなりました。外を見てみも室内も「春が来ました!!」感が満載でした。
 桜は華やかで気持ちも高ぶりますが、同時に花吹雪になり散りゆく姿に刹那を感じ、寂しい気持ちにもなります。 歳を重ねてからは、その刹那的な感情の方が強くなった気がします。つぼみから開花そして満開の花、散りゆく桜の花に人生のドラマを重ねてしまう歳になったのでしょう。

人生のドラマと言えば、お気に入りのテレビ番組があります。テレビ東京制作の「家、ついって行ってイイですか?」です。有名な番組で、街で声をかけた人の自宅へついて行くという番組です。お昼間と深夜と設定が2つあります。 お昼間はスーパーで買い物中の人や銭湯を楽しむ人、深夜版などは酔いの回った人など、いろんな人にディレクターが声をかけます。そして自宅へついて行く事を了承した方のお宅へ向かうわけです。

そこには突然の取材らしく、生活感満載の部屋があります。私達がお客様が来る時のように体裁を整えた部屋ではなくて、さっき出掛けたありのままの部屋が写し出されます。初めて見た時は野次馬的な見方で、ひどく散らかっているなぁ、あらあら、いいお部屋じゃないの。など面白おかしく捉えていました。 そして取材される方のお話を聞きますと、それぞれの方たちにある人生ドラマ。笑いもありの涙ありの、それまでの人生を語られます。ディレクターの上手な取材もあると思いますが、本当に人それぞれにあるドラマチックな人生を見せてくださります。脚本の無いドラマが人にはあるものです。

もし私が街でインタビューを受け、家にお招きすることになったら。 部屋はきっと家内がちゃんと片付けてくれていると信じます(笑) 語るほどのドラマがあるのかしらと考えますと、けっこう面白いエピソードが思い浮かびます。これは私自身が面白いと思った出来事で、世間一般的にはどう写し出されるのでしょうね? いずれにしても、人生を振り返る時間をたまには持つ事もいいのかなと思いました。

家族や周りの友人、そして仕事仲間にお取引のお客様。皆様との関係の中に私のドラマが存在すると。やはり母が生前よく言っていました『周りの人達に感謝しながら生きなさい』は確かなことのようです。エンディングの音楽はビートルズの「Let's It bee」。あるがままに。 心にしみる名曲を噛みしめながら聞いています。



(2作目)

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