2024年2月の生け花・エッセイ

(1作目)




【花材】

スイトピー・椿・スネークアリウム


【制作意図】

春らしい花を生けたいと思い、まずはスイトピーを選びました。花の取り合わせとしては、少し趣きの違う椿を選びました。春のふんわりとした雰囲気に、少し詫びた椿は面白い表現になったようです。スネークアリウムで動きを出して出来上がりました。
椿一輪を古い瓶に一輪挿しに、何も手を入れない普段の花を生けました。とはいえ実は一枝から一輪を選ぶ過程、そして葉を整える過程と、椿は結構手が(心配りが)入る花です。少し寒さで花びらが痛んだところを選びましたのも私のこだわりの一輪挿しです。


【今月のエッセイ】

2月になりました。暖かい日が続いていましたが、ちゃんと節分の日は少し冷え込みます。例年通り節分祭で有名な吉田神社に行きますと、たくさんの人出で賑わっていました。私にとりましては大晦日の初詣よりも、新年と新春の訪れを感じる恒例行事です。子供の時にも両親に連れられてお詣りしていました。そして今は家族の分の御守りを揃えるのが私の役目となっています。時の流れを感じながら鳥居をくぐりお詣りして来ました。

時を経てもずっとそこに変わらず佇む神社を見ての帰り道、三条大橋にさしかかりますと橋がライトアップされていました。三条大橋は室町時代からある橋です。石柱の橋になったのは豊臣秀吉の時代だそうです。東海道五十三次の西の起点で有名で、橋のたもとに弥次さん喜多さんの像が設置されています。元禄、明治、大正、の各時代に架替えが行われ、現在の形になったのは昭和25年です。木製の欄干のため、昭和47年に設置された欄干の取替工事が昨年より行われていました。

ゆっくりと進んでいく工事の様子も日々通りすがりに見ていました。学生時代いつも橋を渡り通学していましたので、その頃の欄干がいよいよ取替えられる事に年月の流れをしみじみ感じました。そして新しい三条大橋は見事な京都北山産の木材が使われ、本当に美しい姿となりました。それにもまして新たな橋は、欄干の全長にLEDのラインライトを備え、夜にはライトアップされるようになったのです。遠目に見ますと橋そのもの自体が発光しているようにも見えます。

私は歳とり最近ようやく骨董の良さや経年変化の面白さがわかる気がしていました。最初ライトアップを見た時は「なんだかなぁ~」と少し失望の念もありました。が、離れて御池通りから鴨川に光浮かぶ三条大橋はとても綺麗です。これぞ21世紀にふさわしい三条大橋なのかも。この橋が未来に向かう佇まいになり、孫達の世代にはあたりまえの姿になるのだろうと思いました。



(2作目)

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