5月の生け花・エッセイ


【花器】 厚みのある四方形ガラス器
【花材】 紫陽花・梅花空木(ばいかうつぎ)・縞ふとい・胡蝶蘭
今回は化粧室やレストルームのお花です。

あながち他のお部屋に飾ったお花の残りを一輪、とか生けてしまいがちなのですが、お客様をお迎えする時などは一番気を使ってお花を生けておきたい場所です。季節も初夏の兆しのある頃、四角形の透明なガラスの器を使い、爽やかさを出しました。

花材はよく庭木にもある季節感たっぷりな紫陽花と梅花空木(ばいかうつぎ)を、一輪ずつ丁寧に器のふちにもたせかけるように生けていきます。無理して高さを出すより、洗面台の鏡の前に置いた時邪魔にならないように、かつ存在感もあるように。低く生けボリュームがあるほうが良いでしょう。

紫陽花からピンと伸びる縞ふといが、平面的になりがちなところにアクセントとしてきいてきます。器の後方があいているところに小さめの胡蝶蘭が生けてあります。

目立たないところではありますが、だからこそ贅沢に使う、控えめですが奥ゆかしいお客様への気配りが現せていたらいいですね。
【第二十三話】

5月、風も爽やかな季節となりました。

最近私の身の回りが変化しだしました。このエッセイが始まった当初はホームページも持たず、広告も出さずに仕事をしていますとお話していました。


が、私はついに、自分のホームページを持つことになりました。

岸 勝人花事務所(http://sky.geocities.jp/hana06kishi)


オールアバウトと言うWebサイトで私のお花の教室を取り上げていただいたことがきっかけなのですが、自分自身もこの情報社会の中、そろそろとは思っていたところでした。実際パソコンを使う仕事も、私のような「花を生ける」というアナログな世界においても確実に増えてきています。

先日、読売新聞にも書かれていたのですが、今の時代情報というものはパソコンをクリックすれば簡単に手に入れることが出来ます。しかし、現代人が今欲しているのは情緒なのではと言う記事でした。

花を生ける仕事をしている私には、まさしくその通りだと感じられました。「花を生ける・飾る」という行為は、仕事でありながら自分自身の癒しにもなっているような気がします。

季節や自然の偉大さを感じるのはもとより、生命を花々から感じながら生けていきますと、優しい気持ちや思いやりの心など、忙しい日常の中では忘れがちな人としての心を教えてくれたりもします。また花で飾り演出された空間からは、和みや静けさ、また凛とした空気を感じ、まさに情緒的な気分になったりもします。

花達から教えられることはたくさんあり、多くの方々にお花を通して感じられる情緒を味わっていただけたらなと思う日々です。


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