2月の生け花・エッセイ

【花器】 -
【花材】 白椿
【製作意図】

白玉椿 椿の花はぽとりと枝から離れますが、その姿にも美しさがあります。
また寒さのなか、葉の濃い緑色に力強さを感じます。

潔くて強いというところが私の椿のイメージです。
【エッセイ 第八十話】

立春も過ぎましたが、各地より大雪のニュースが入ってきます。京都の冬の底冷えは有名ですが、今年はまだ市内には積雪はありません。比叡山からの風を比叡おろしと言います。その風の冷たさも心なしか例年よりましな気がします。豪雪地方の皆様のご苦労と被害は想像以上だと思います。どうぞお疲れが出ませぬようにお見舞い申し上げる次第です。

さて先日私が花の仕事をするにあたり、最初の一歩を踏み出しました京都の老舗花店の同窓会がありました。創業110年を超える日本でも有数の花店です。今では聞かれることの無い言葉ですが、その昔はでっち奉公と言われた時代の諸先輩から最近の研修生と言われる若者たちまで、全国津々浦々より多くの同窓生たちが集まりました。私たちの年代はちょうどでっち奉公から研修生への変換期だったように思います。

花店の仕事のシステムも時代に伴って様変わりしました。私達はなかなか花には触らせてもらえず、まずは竹ぼうきを手に掃除そうじの日々です。唯一花を触らせてもらえるのは水揚げと悪くなった花葉の整理の時でした。花を生ける事や花束の作り方などは先輩の仕事を見て覚える時代でした。しかしその時代を一緒に仕事を学んだ仲間との思い出は楽しく、あたかも昨日した仕事のように話しが弾みました。

私も独立して23年となりますが改めて自分の出発点を確認し、たくさんの仲間たちの活躍を誇りに思いました。今の時代、師弟制度などは少なくなってきていますが、ひとつの道を歩み先人から学んで後輩へ伝承することの大切さ、そして仲間たちとの 絆とお世話になった花店への感謝を感じた一日でした。


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