12月の生け花・エッセイ







【花材】
モミの木・ホーリー(赤い実)・シキミア(赤茶の実) ・エアープランツ(キラキラタイプ)
オリーブ(造花)

【制作意図】
クリスマス飾りのひとつ、スワッグを作りました。 スワッグとはドイツ語で枝木を花束のように束ねた壁飾りのことです。 森の木を自然な形のまま束ねました。


【今月のエッセイ】
師走です。
京都の街もクリスマス装飾が見られるようになりました。また京都の代表的な師走風景でもあります歌舞伎の顔見世興が、今年は南座の耐震工事のため先斗町の歌舞練場で催されています。

昨今京都の古い建物は耐震工事が至る所で行われているようです。
古い街並みにあわせて外観はそのままに工事されているので時間もかかるでしょうね。

さて先月になりますが私の秋の楽しみのひとつ、華道池坊の華展「旧七夕会」へ出掛けて来ました。もともと私と花との出会いは、花屋の修業時代に華道池坊を学んだ事が始まりです。

池坊を学び花の奥深さを知りましたが、華道以外の花の表現にも興味がありましたので池坊を離れて現在に至ります。

花の仕事を続けたくさんの作品も生けて来ました。また花から興す新しいデザインなどにも挑戦してきましたが、やはり私の根っこには池坊の華道があると思います。
ですから毎年の華展は楽しみでもあり、また学ぶことも多い催物なのです。

今年は特に古典の作品に惹かれ、時間を忘れて熱心に拝見させて頂きました。ひとつの作品の前に来た時などは感動のあまり目頭が熱くなりました。

これには自分自身少し驚きました。日常花に接し花の仕事をしている私。また流派を問わず華道展もいろいろ見て来た私です。

作品の生け方やデザインを分析し、なにかを学ぼうとするのが私の鑑賞です。そんな私が、鳥肌が立つほど感銘を受けました。簡単には説明がつきませんが、ひとつひとつの葉や枝の先の先まで心がこもった作品。作者が丁寧に生けておられる姿が目に浮かぶように感じました。

それから少し日が経ち思う事がありました。花に限らず芸術作品には作風が現れます。
今回感動した作品に作者の姿を感じた私は、今までは花(植物)にばかり目が行き過ぎていたのでは?ないかしらと。仕事柄でしょうか、どこかに芸術鑑賞を忘れていたような気がしました。

華道を離れて早くも30年近く経った今になって、またひとつ大切なことを見つける事ができた気がしました。



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