3月の生け花・エッセイ









【花材】
パンジー・ムスカリ・小手毬・桃の花・タニワタリ

【制作意図】
春の庭に咲く草花風に構成しました。タニワタリを数枚敷き、その上に生けてあります。淡い緑の色が春の訪れをより強調してくれました。 2作目は水盤に小さく生けてあります。こちらは花器の場面を多めに見せて、花が軽く動きある作品としました。


【今月のエッセイ】
梅の花も咲いていよいよ春間近となりました。
三月に入りますと一気に春の木々の開花が始まります。山朱・れんぎょう・万作の黄色の花に始まり、木蓮にコブシの花なども楽しみです。

特に私は木蓮の花が大好きです。大きな木に大輪の真っ白な花が咲くのを見て、いよいよ花の季節がやって来たとテンションが上がります。
そして桜が咲きますと春本番となりますが、桜が咲く前にもたくさんの花達が楽しめる三月です。

さて先日、非常勤講師をしております京都造形芸術大学の卒業制作展に行って来ました。毎年行っておりますが、いつも新鮮な驚きと感動があります。

今年もワクワクしながら出掛けました。白川通りから大階段を上がりますと最初の作品が目に飛び込んで来ました。それがなんと私の受講生で、また私の仕事も手伝ってくれたS君のランドスケープの模型でした。大がかりな展示物ですが細部まで作り込まれ作者の意気込みが感じられます。よくぞ作り上げたなぁと感心し、また立派な作品に感動ました。

さっそく感想ノートにメッセージを書いて次の展示へ進みます。するとまたまた受講生で授業後も交流の多かったD君のランドスケープ作品です。D 君本人も居て作品の詳細説明を聞きました。私の講義を受講して2年が経ちますが、すっかり大人になりしっかりとしたコンセプトに基づく制作に感心するばかりでした。

その後もたくさんのカテゴリーの作品を見て歩きました。どれも4年間の学業の結集らしく力のこもった作品の数々でした。

私も芸術大学に通い、また花の世界に入ってからも池坊学院で学びました。芸術やデザインの世界では制作発表は日常よくある事です。
今回学生達の意欲ある作品、また少し無茶した勢いがある作品などを見て、自分の若い頃も同じ様であった事を思い出していました。

お陰様で今も好きな花の仕事をしています。その今の自分の作風は、力いっぱいの意欲作と言うよりは、どこか無難にまとめている気がしました。

もちろん歳も経ての経験がさせる業もあるとは思います。しかし自分のなかに、もっと自分の作品にときめきたい気持ちがあると気付きました。

若者に触発された感じですが、少し忘れていた創作性を思い出して笑顔を浮かべながら帰途についた日でした。




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