2020年 4月の生け花・エッセイ

(1作目)


【花材】
利久梅・乙女椿・マドリカリア・ゴールドスティック・トルコキキョウ

【制作意図】

春らしい草花を花瓶に投げ入れ花としました。投げ入れにしますと花そのものの姿で花が留まって形が完成します。私のデザインと言うよりは、自然と形になるところが投げ入れ花の魅力だと思います。
2作目は乙女椿を立て花にしました。

【今月のエッセイ】

春になりましたがコロナウィルスの影響で明るい気持ちになれない4月の始まりです。毎日のニュースを見るにつれ、世界規模で広がるコロナウィルスの恐ろしさを身近に感じ、各自が予防に努めることが大切だと思います。

またすべての事業において経済的な影響も大きいです。例年春の京都はイベントも多く賑やかな街ですから、余計に心配になります。もちろん私の仕事にも婚礼の延期やイベントの中止などの影響が出ていますが、粛々と目前の仕事をしています。


そんなある日に、10年前にご婚礼装花をさせて頂いたお客様で、その後友人でもあるG君が訪ねて来てくれました。沈みがちな時に嬉しい限りです。せっかくなので近くのお蕎麦屋さんで一緒に昼食をとりました。お店の方も消毒液の準備やマスクの着用など、感染予防の為にだいぶ気をつけておられる様子でした。

G君は10年の間に男の子三人の父となり、益々いい大人の男になっていました。そんな彼が奥様にも内緒で、10年の月日を振り返った記念品を作ったそうです。結婚式から第一子の誕生、そして次男三男と…10年間の家族のいろいろな今までの姿、出来事の写真を使ったトランプを制作していました。(写真を選んで、それをトランプに加工してくれるサービスがあるそうです)


それはもう、本当に素敵なトランプに仕上がっていました!彼が家族を大切にする思いが溢れた作品です。20個限定で作ったなか、彼はなんとその1つを私にもプレゼントしてくれました。今の時代ですから、普段はSNSなどで時々彼のページを見ていましたし、子供達の成長もスマホで見てはいましたが、トランプになった写真たちは、更に彼の暖かい愛情に包まれた素敵なものばかりでした。

きっと彼が何百枚?何千枚?というたくさんのデータの中から丁寧に選び抜いたのでしょう。もう感激してしまい大きな声で「いいなぁ。素晴らしい!」と繰り返し言いながらトランプを見た私です。


今、世界は困難な状況です。そんな時こそ暖かい気持ちになることの大切さを感じさせてくれたG君の訪問でした。



(2作目)

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