3月の生け花・エッセイ



【花器】 壺形ガラス花器
【花材】 チューリップ
【生け方の解説】

今回は3種類のチューリップを投げ入れています。葉の整理をしながら、茎と茎の重ね方で花を留めていきます。生ける時にはチューリップの重みに任せ、花の頭が重ならないように気をつけ、少しずつずらして挿していって下さい。

チューリップは光に向かって茎が伸びていきます。生けた後も形がどんどんが変わっていくのがまた楽しいです。
【エッセイ 第五十七話】

3月、桃の節句も過ぎて後は桜が咲くのを待つばかりの花好きな私です。と言いたいところですが、花粉症でクシャミと目の痒さに悩まされながら春爛漫を待っております。

春を待ちこがれる気持ちは、思うに歳によって変化していくようですね。実のところ私は若い時より歳も重ねるにつれ、桜の開花を楽しみにするようになりました。日本人の多くは4月から新年度が始まるという慣習もあり、桜の花は節目の気持ちになると思います。最近の私は、無事一年が巡り桜の花に出会えることにまず有難さを感じてしまいます。

さて今月の撮影はとあるハウスメーカーの住宅展示場のリビングテーブルにチューリップを生けました。

展示場ではありますが、最近のデザインでしつらえされたインテリアや家具は、生活感の在る無しをこえて現代の住空間を創っていると思いました。数年前までは見本としての展示場的な感じが多くみられたことを思いますと、今のハウスメーカーの家は稚拙な言い方ではありますが、ほんとうにかっこいいです。

また昨今いつも私が考えておりますインテリアとしての花のあり方が、今の住空間にはマッチすると思いました。生け花と言えば床の間に、と考えてしまいます私も古い考えの持ち主かも知れませんが、インテリア的な花とは区別することによって花の存在感も増すように思っています。

いずれにしても生活の中に花が在ることは、衣食住のなかの「住」の部分のひとつで在るということなんだなと確信致しました。


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