1月の生け花・エッセイ


【花器】 青竹
【花材】 カトレア(白)・葉ぼたん・南天の実・グリーントリュフ・金銀水引
【製作意図】

昨年は東日本大震災がありました。華美な迎春花というよりは、静かに仕上げたく思い白いカトレアをメインとしました。
また2つの花が手を取り合うように水引きで結びましたのは、「絆」ということを表現しました。
【エッセイ 第七十九話】

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

いつも私の拙い作品をご高覧頂き御礼申し上げます。また、昨年の東日本大震災において被害に遭われた皆様には、あらためて心よりお見舞い申し上げます。

今年のお正月は久しぶりにゆっくり休んでおりました。そして考える事の多い三が日となりました。昨年の大震災は大きな出来事で日々の生活の在り方を考え直す機会となりました。家族の絆、あたりまえだと思っていた生活環境など... そしてこれからの私が出来る事。

私の仕事は花を生ける事です。昨年もたくさんのご婚礼や催事に装花をしました。特にご婚礼はたくさんの新郎新婦様の新しい門出をお祝いする事ができました。

以前より婚礼の仕事をするにあたり私自身思う事がありました。昨今のことですから花のデザインや装飾も多様化しております。ご要望にお応えして装花をするのはもちろんですが、作り手である私が一番大切にしたいのは、結婚されるお二人へのお祝いの気持ちと思いでした。

思いと言いますと非常に抽象的ですが、新しい家族ができスタートされるお二人へのエールであり期待でもあります。花の担当者の私も、ご家族とともにその日を迎えたいと思ったわけです。震災後、その思いは強くなりました。考えてみますと、私たちは非情の世界に暮らしているのかも知れません。だからこそご多幸をお祈りし、家族の絆を築き繋げて頂きたいとあらためて思いました。

物作りは人が出ると言われます。生け花にも当てはまります。気持ち大切に丁寧な生け花を今年も続けていきたいと思っております。


何卒本年もよろしくお願い申し上げます。


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