11月の生け花・エッセイ




【花材】
野ばらの実・ダリア・秋色アジサイ・カーネーション

【制作意図】
華やかさよりも粗野な雰囲気を表現してみました。
野バラの実も枝ぶりなどを整えずに、植物の力として生けてみました。


【今月のエッセイ】
 秋の紅葉シーズンです。朝晩の温度差もあり、これから益々きれいに色付くでしょう。
花木を見ておりますと季節の移ろいが感じられます。毎日忙しくしていますので急に紅葉が始まっていることに気づき驚くこともありますが、意識して木々を観察しますと一日一日の変化がわかります。つくづく自然の生命力の面白さを感じますね。仕事柄、毎日花木と接するわけですが、やはり地より出ずる植物には畏敬の思いで見てしまいます。毎年当たり前に季節はめぐりますが、花鳥風月を楽しめる余裕を持ちたいものですね。 

さて、大学も後期講座が半ばになる頃です。講師をさせて頂き5年になりましたが、まだまだ不慣れな点もたくさんあると思います。いつも同じような繰り返しにならないように考えてはいるのですが、気付くと前年度と同じような感じで反省することしかりです。勿論大筋の花木の講義は同じでいいと思いますが、花を生ける実習などで学生達の積極性をひきだせずに凹むことがあります。シンプルなものは美しく、また見易いものです。
特に花はごちゃごちゃするよりもスッキリさせる方が、花が際立ちます。そのような表現を学生達もしがちです。そこで私は1+1=2ですが、せっかく芸術系の大学に来たのだから、100-98=2 の2を表現してみましょう。と言います。同じ2でもいっぱい試行錯誤して、余分を引き算して2を見つけて欲しいからです。きっと簡単に1と1で2になるより表現に奥深さが出るのではないでしょうか。
私もシンプルなものが好きですが、良くできたシンプルなものほど作者の思いがこもっているものだと思います。
                               

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