9月の生け花・エッセイ






【花材】
ススキ ・ ホトトギス ・ グリーントリフ

【制作意図】
秋の訪れ。ススキの花を主役にして、静かな風景を作りました。
苔玉のようにしたグリーントリフにホトトギスを一輪。風になびくススキと、瞬間的な時間の静止を表現しています。

 2作品目はスプレーマムとリンドウを足して小さな生け花をしました。ススキは、生け方によっては華やかにもなります。


【今月のエッセイ】
まだ暑い日もありますが、朝夕は秋の気配になってまいりました。
花市場には秋の花達が並んでいます。

また今夏の台風はおかしな動きをし、東北方面に大きな被害をもたらしました。慎んでお見舞い申し上げます。西日本は夏から秋にかけては台風シーズンでもあり、やはり備えを怠ってはならないと思う次第です。

 さて、秋は花の美しい季節です。
四季それぞれ花木は季節にあった美しさがありますが、秋の花達は大人な感じの風情あるものが多い気がします。
毎年同じ事を言っていると思いながらも、花市場に並んでいる花に見とれる私がいます。

もう40年近く花業界にいる私ですから慣れっこな事なのですがね。季節はちゃんと順番通りに巡ってきます。 でも歳を重ねる度に季節のありがたさを感じるようになりました。

また秋の花達に出会える歓びでしょうか。秋にしか生けられない花を生ける歓びなど。
 けっして刹那的な考えが増したわけではないのです。

日々の生活のなか、また忙しく仕事に追われるなか、季節感を忘れてしまうのは勿体ないと思うようになりました。

夏の猛暑などは確かに体に堪えますし、生けた花もすぐ咲き萎れます。それも夏だからこそだと思いますと、厳しい季節も興味を持って感じるようになりました。

冷房や暖房機などの設備も整った現代。なんでもバーチャルに体験できる今の時代。
すぐにパソコンで春夏秋冬のイメージ写真なども見られます。

でも、せっかく四季のある日本に生まれたのですから四季それぞれを楽しむべきだと思う今日この頃です。




コメント