2024年6月の生け花・エッセイ







【花材】

フトイ、スモークツリー、ステルンクーゲル、カスミ草(染めピンク)、デルフィニウム、利休草、ソケイ、ベンケイ草


【制作意図】

スモークツリーの幻想的な姿から伸びるフトイの線。これだけでもアートな感じになります。カラフルに色花を添えてみますと、油絵のように感じます。


【今月のエッセイ】

先日ニュースで御年93歳の御婦人が水泳の年代別大会で、3種目において世界記録を打ち立てられた事を知りました。「うわぁ~、これは嬉しいニュースやわぁ」と思わず声を上げました。と言いますのは私の父も今年92歳になり、やはり水泳をしているからです。

5月の最終日曜日に、岐阜でマスターズの記録会があり父も出場しました。遠征ですので家族で車2台に分乗して応援に行く事になりました。父とは別の車に乗った私は「これが最後の大会になるかも知れないよね」と妹に言いますと、「何言うてんの!!縁起でも無い」けど怒りはせず「ところがやで、お兄ちゃん。10月に鳥取での競技会にもうエントリーしてるのよ」とさらりと続けます。思わず「ほほぅー」と唸るように呟いた私です。

今までも大会に出た事はあります。数年前ですが80歳代の平泳ぎではメダルを貰い喜んでおりました。今回は最近スイミングスクールで習い始めた背泳ぎにも出場するとの事。平泳ぎと背泳ぎの二種目出場です。プログラムでは、その二種目の競技時間が連続していました。さすがに体力的に大丈夫なのかしらと気がかりです。先に背泳ぎ。習い始めて間も無いのでマイペースで泳いでいるようです。気持ち良さそうに見えますが、きっと体力使うだろうなぁと心配になります。そして少しのインターバルで平泳ぎへと続きます。父はなんと華麗に飛び込みスタートを決めました。しかしやはり疲れが出たのかターンに失敗してしまい、大会での記録は無効となってしまいました。

帰りに皆で食事をしました時に、父が「せっかく皆で応援に来てくれたのに面目ない」とほんのりと悔しさをにじませています。いやいや記録うんぬんよりも、立派に泳ぎきった事に感動した家族の面々は、ここは優しい言葉で「お疲れ様でした!」と言うはずが「じゃ、ここの食事代はおじいちゃんの奢りで」と言うオチまでつき、賑やかに我が家族らしい雰囲気で父の健闘を称えました。

私はスタート前、プールサイドから観客席の私達に向かって大きく手を振ってくれた姿が一番嬉しく、誇らしい気持ちになりました。

さあ!!次は鳥取遠征です。





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